【振袖の特徴】
京都でも数少ない刺繍工房「尾峨佐染繍」。
微細糸刺繍という、世界の中でも細い部類の番手の糸を何度も同じ箇所に縫い込み、立体感を出していく刺繍の技法を施した振袖です。
黒地の地色にふんだんに施された刺繍の技術。黒地なので刺繍が華やかに目立ちます。
柄は「松竹梅」「菊」「橘」「流水」等、縁起の良い花が刺繍によって彩られています。
松の柄を「金駒刺繍」でその周り小花は「微細糸刺繍」になり、刺繍を使い分けています。
「微細糸刺繍」は大変細かな作業で、同じ箇所に幾度となく世界でも一番細い糸を縫い込み、立体感を持たせる技法となります。
細い糸なので、何回も縫い込まないと立体感が出て来ませんので、大変気が遠くなる作業です。
そして、京友禅でも使う「金駒刺繍」ですが、刺繍針に通せない太い金糸を駒に巻き付けて下絵に沿って転がし、綴じ糸（とじいと）で留めていく技法になるのですが、「金駒刺繍」よく見ると、「綴じ糸」の赤の糸が見えます。（写真だと分かりにくいと思いますが）
石川県の金沢市は元々「金」の加工が主流な事から、金沢市から技法が伝わったという説もあります。京友禅には欠かせない技法です。

地色の黒が非常に綺麗で高級感がありますが、黒の振袖は選ばれる方が少ないです。
お洋服とは違い中々難しいですが、「黒」という色は個性もありますが、色の中でも女性を綺麗に見せる色そして、意外に色の中でも一番派手な色でもあります。
「黒」は二十歳のお嬢様には、大人っぽ過ぎると良く言われますが、「華踊」の振袖は 「豪華」「品格」「個性」「お洒落」と良い言葉ばかりが浮かびます。
これこそ、本当の「レトロ」だと思います。
お嬢様がお気に召せば、大満足間違い無しの振袖です。

【お勧めのコーディネート】
写真のコーディネイトに関しては、帯を白地に持ってきて「モノトーン」の感じで仕上げました。帯の柄は少し愛らしい物を合わせて黒地の色が個性的な印象なので柔らかい感じにしました。
帯締めと帯揚げは赤を合わせてメリハリをつけました。
違う感じでお勧めですと、金駒の刺繍がかなり入っているので定番の「金地」の帯を使うのなら落ち着いた金地の帯がお勧めです。
あまりに金が強い帯だと野暮ったくなると思います。銀が合いそうな感じもしますが、確かに合いますが柄によっては老けてしまいます。
刺繍の振袖は、コーディネイトによっては大人っぽく見えます。それを狙ってコーディネイトするなら良いですが、若々しさを出すなら色のどんな帯を持って来てもトーンを考えれば解決します。
成人式が無い時というのは、皆19歳の女性の初厄年に振袖を購入し厄払いをし、結婚するまでの衣装なので、少し大人っぽい物を購入して長く着る事が一般的だったみたいなので、帯も落ち着いた物で合わせましたが
現在は、お嬢様の雰囲気も昔とは違いますので、少し若々しくコーディネイトする事をお勧めします。

【黒い振袖コーディネート】【黒い振袖に合う帯】【古典柄】