古典柄とは? 7月/文月

  • 志染庵店主のコラム

~古典柄とはどういう柄?~

古典柄と言われても、初めて着物を見る人にとっては、漠然としていてよく分からないと思います。

古典の柄は上げればきりの無い程沢山ありますので、ご興味のある方は「着物の柄 名称 意味」と調べて頂ければかなりの数が出て来ますのでお調べになって頂ければと思います。見ていくとかなり面白いのでご興味のある方は検索して見て下さい。

率直に申して、現在ある振袖のほとんどは実は古典柄です。

可愛い系やレトロ系等種類がある様に感じますが、全て古典柄をデザインしていますので、古典柄と言うより「古典風」と言った方が良いのかもしれませんね。

古典柄の説明をすると簡単に言えばこんな感じですが、もう少し深堀してみたいと思います。

 

現在、色々な振袖のレパートリーがありますが、その違いをどうつけているかと考えると、

地色と生地そしてコーディネイトだと思われます。

生地や地色は、洋服の流行色などに合わせて選び、コーディネイトは帯や小物で華やかにしたり、シックにしたりで表現しています。

 

①生地

まず、一番大事な生地ですが、生地は「綸子(りんず)」が使用されている事が多いです。「綸子」とは光沢がある生地が特長です。主に振袖に用いられる代表的な生地です。

その他に、「古代縮緬(こだいちりめん)」「銀通し(ぎんとおし)」「緞子(どんす)」等ありますが、現在では職人の減少から希少な生地も多く、少なくなってきているのが現状です。

白生地に関していうと、昔と変わりは無い感じがします。

振袖 古代縮緬
古代縮緬の振袖
振袖 綸子 藤井寛
振袖に多い綸子の生地

 

②地色

これが一番肝心な部分になるかと思います。現在ではレンタルの需要が増えて、成人式の着用しか考えなくなりましたので、流行の色を追う様になっている感じがします。

購入しかなかった時代、色は決まっていましたが、今ではインクジェット友禅も入り様々な色が出せる様になっています。最近少し流行の「白」「ベージュ」「薄紫」等、中間色が増えていると思います。

振袖に代表される「赤」も昔とは色が全然違う感じになっています。昔の赤は「エンジ」「ワインレッド」の様に渋い色が多かったです。今の赤はどちらかと言えば七五三の赤に近い様な感じがしますね。

今まで書いた事でお分かりになる様に、振袖は地色でその時代の流行があるという事ですね。

 

 

③コーディネイト

コーディネイトは、振袖の地色や雰囲気で合わせていきます。

最初に合わせる「帯」は合わせ方で振袖の雰囲気がガラリと変わるアイテムです。

「帯」で流行りを取り入れる事も出来ますし、古典にする事も可能です。

振袖や一般の着物は、帯で個性を取り入れる事が多いので一番重要なポイントです。

小物においても、最近では、帯締めは特に飾りの付いたものもあり多種多様になってきています。

帯揚げ・重ね衿等も流行に合わせたアイテムが出て来ていますので、コーディネイトの幅が広がっています。

これも、レンタルが増えて成人式のみの着用を考えるようになった事にあるかと思います。

振袖黒 帯締め 平組 赤
昔ながらの帯締め「平組」
振袖白 帯締め 丸ぐけ
ふっくらとした帯締め「丸ぐけ」
振袖黄色 帯締め パール
パール素材などがついた可愛らしい帯締め
振袖赤 帯締め 赤 レトロ
梅の飾りがついたレトロ柄振袖にお勧めの帯締め

 

私なりの考えを3つにまとめてみました。

可愛い系・レトロ系・ゴージャス系等はここ最近出て来た言葉で、一昔前は大きく分けて古典系とレトロ系と言った感じでした。

お洋服の様にジャンルが出来始めたのも、レンタルの普及が増えて二十歳のスタイルで楽しめる事が出来る様になった事なのかと思います。

レンタルが普及したとはいえ、お写真には残ります。いつの時代でも流行りの無い落ち着いた品のある振袖とコーディネイト、お洋服には表現出来ない日本の「品と格」のある振袖が、「古典」という事だと思います。「古典柄」というのはジャンルとしては無いという事ですかね。

「古典」という言葉を私なりに考えてみました。中々言葉で説明する事は難しく、出来れば是非ご試着をして体感してみて下さい。

 

 

キモノモード・志染庵

店主