6月/水無月 お母様の振袖(ママ振袖)をご成人式に
- 志染庵店主のコラム
着物は「親から子へ子から孫へ」という言葉があります。
最近では、お母様の振袖(ママ振袖)をお召しになり成人式の前撮り・成人式当日にご出席される方が増えています。
キモノモード 志染庵では、お母様の振袖をお召しになりたいご家族様には大歓迎でご相談をお受けしております。
ママ振袖をご希望のご家族様へいくつか注意事項を下記に記します。ご来店の前にお嬢様とご確認できればご家族様での思い出の一つともなりますので、是非ご参考下さい。
①サイズの問題
裄丈・身丈・身幅、この3つがサイズで重要とされる箇所です。
・裄丈:背中心から手のくるぶしまで
・身丈:背から、または肩から裾まで
・身幅:ヒップサイズ
このサイズがまず合わないと次はお直しという事になります。
着物は、小さくする事は出来ますが、大きくする事には問題がいくつかあります。
着物を解くと、長年の経過で「筋焼け」というのが大体の着物には生まれます。
この筋を消すには、かなりの労力がかかります。そして、綺麗に取れるとは限りませんし、お直し代金もある程度かかります。
そして、生地の余りがあるかどうかという事もあります。
余りの生地の加減で、何センチ出るかが分かります。
現在のお母様のお振袖は、全体的に生地を残してお仕立てしている事もあるので是非ご相談下さい。
思い入れのあるお振袖でしたら、是非ご着用して欲しいというのが私達の思いです。
一度ほどいて生地に洗いをかけると見違える程綺麗になる事があります。
お気軽にご相談下さい。
②色や柄について
こればかりは、ご家族様でのお話合いになるのですが、正直申しますとお母様の時代のお振袖と現代のお振袖では、地色・柄の配置(デザイン)が根本的に違います。
一昔前は、振袖の流行がなかったのですが、近年ではインクジェット友禅の発達により、色や柄の流行という物が強くなりました。これも、レンタルが増えた原因だと思います。
レンタルですと、二十歳の事だけを考えてレンタルすれば良いので、レンタルが無かった時代のお母様の頃と考えが違うのが主な理由かと思います。
冒頭でも申した様に、着物は「親から子へ子から孫へ」と言われていましたので、購入するしか無かった時代ですと、結婚するまで着用するので、少し落ち着いたお振袖を選ばれていました。その頃から比べると、今の振袖は「七五三の色みたいね」と言うお客様もいらっしゃいますが、所有する方が少なくなり七五三の感覚に見えるデザインかもしれませんね。
現在の振袖の色はお洋服の様な感覚になってきていますから、時代の流れだと思います。


③コーディネイトについて
お母様の振袖を今っぽくコーディネイト!
とかいう言葉はありますが、正直な所私達も難しい事です。現代っぽくアレンジするには帯や小物を現代の物でコーディネイトするしか出来ないですが、どうしてもお母様の振袖の時代の振袖と帯は時代に合わせた配色で作られているので、今の帯や小物をコーディネイトするのであれば、振袖を生かす様に合わせて欲しいと思います。
無理矢理、現代の流行の帯を合わせるとミスマッチ感が凄く出ますので、現代の流行に合わせるのではなく、振袖をご着用されるお嬢様が綺麗に見える様にする事をお勧め致します。
現代の様に、フリルの付いた小物類や貴金属の付いた小物になると、古い物と新しい物を組み合わせただけにしか見えなく、二十歳の雰囲気よりもコスプレ感が強くなりがちです。
なるべく、帯を合わせる場合も糸の色を見て振袖と合うようにしてコーディネイトするのがお勧めです。
帯や小物が現代の流行の様になると、染めている色糸が違うので、帯や小物は染めている色糸を見てコーディネイトする方が品も良くなりますし、お母様の振袖が生きると思います。
私の考えが古いのかもしれませんが、お洋服には無い振袖の持つ品格を大事にしたいので、お母様の振袖は伝統ある加工や配色ですから、品良く可愛く生かす為のコーディネイトを致します。


お客様から良くご質問のある3つを今回コラムに書きましたが、細かく上げればまだまだ疑問はお有りかと思います。
お母様の振袖は、全て手作りで今の振袖よりも断然価値の高い物ですからお嬢様がお召しになられても全く問題は有りません。お母様の振袖をコーディネイトする事は私達着物屋にとっては嬉しいお仕事です。
現在はレンタルショップの方が多いですが、弊社の様な呉服屋さんは着物の知識が豊富ですので、無理なお勧めはござません、お気軽にご相談下さい。



キモノモード・志染庵 店主