藤井寛先生のお振袖ご紹介 1月/睦月

  • 志染庵店主のコラム

2023年新年明けましておめでとうございます。
成人式も終わり、2023年の成人式を迎えられたご家族様おめでとうございます。
今年から18歳から成人という事で、3世代行われた地域もあったとか、なかったとか?
今年は、お天気も良く成人式日和でした。
本当におめでとうございます。

一月の成人式明けから、来年の準備に向けて動かれる方が多くなると思われるのですが、昨年京都に出向き、藤井寛先生の所へお邪魔致しました。
わざわざ、藤井先生ご本人も出てきて下さり、色々お話しを聞いてきました。
藤井先生は、現在87歳。もう着物作りは辞めておられているという噂もちらほらと聞いていましたが、全然そんな事はございません。今でも、図案を描く作業をしておられる様です。
夜10時から仕事を開始し、明朝3時まで図案を描かれているそうです。
何故、夜が良いのか?とお尋ねしますと、夜の方が集中出来るからという理由だそうです。
明朝、スタッフが出勤すると図案が2枚程置いてあり、作業にかかるそうです。
図案を描く事は、非常に神経がいるお仕事なので、夜に行うのも無理無いですね。
87歳、来年は米寿を迎えられる方とは思えない程、しっかりとお話しされますし、藤井先生のお話しも沢山聞けました。しかし、人間には必ず最期はあるものです。ですので、今からお弟子さん達に、「雲取り」の描き方や友禅の弾き方を教えているそうです。
中々、奥ゆかしい「雲取り」を描くのは難しい様で、お弟子さん達のお話しを聞くと大変そうです。これも、感覚だからやり込むしか無い様です。
藤井先生は、10代の頃からやられているのでそのキャリアにはかなわないと思いますが、お弟子さん達も、藤井先生の作品を残す為に頑張って欲しいです。
陰ながら、応援していきたいと思っております。

藤井先生の工房にお邪魔した時に、ご縁があった振袖をご紹介致します。
「四季花木枝組に春秋花の丸」というタイトルのお振袖。
水色地に花丸文が描かれた作品です。
一目惚れでした。藤井先生にしては、珍しく「雲取り」が無く「花丸文」だけで描かれています。柄と柄の間の取り方が本当に綺麗です。
柄の少ない振袖は、間の取り方が非常に難しく、図案家のセンスが問われます。
柄の多い物も、色挿しや柄のバランスが難しいと思われますが、柄の少ないなら少ないなりに、多いなら多いなりに大変という事ですね。
是非、一度「表参道 志染庵」までご試着にお越し下さい。着るとまた一段と綺麗です。

合わせた帯は、今では数少ない「手機」の帯です。
簡単に言うと、手で織られた帯になります。現在、帯を織る過程としては「織機」がほとんどですが、こちらの帯は「手機」非常に貴重な帯です。
もう、織られなくなると思うので、弊社のコレクションとして購入しました。
銀の箔は、なんと「プラチナ箔」です。渋い銀色が、何とも言えない色ですよね。
柄は「丸」の中に唐織の技法を使用し、立体感のある帯に仕上げています。
藤井先生の振袖の「花丸文」の丸柄に、帯も丸柄で合わせてみました。
少し、落ち着いた雰囲気になるかと思いますが、これぞ「レトロ」の雰囲気かと思います。

ご試着されるお嬢様にコーディネイトしてみたい逸品です。